News Lettter 実務に役立つ!労働時間管理に関するQ&A
今回のトピック
実務に役立つ!労働時間管理に関するQ&A
Q1.「労働時間でない」と契約すれば労働時間とならない?
Q2.通勤時間、出張時の移動時間、 取引先への移動時間は労働時間か?
Q3.テレワーク中に出社した場合、移動時間は労働時間か?
Q4.始業時間前にタイムカードを打刻した場合、始業時間からカウントしてよいか?
Q5.研修参加や資格取得のための勉強、情報収集等の時間は労働時間か?
Q6.上司の禁止に反し、労働者が自主的に行った持ち帰り残業は労働時間か?
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Q1.「労働時間でない」と契約すれば労働時間とならない?
A.労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます。たとえ労働契約、就業規則等の定めで労働時間ではないと契約をしたとしても、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価されれば、労働時間だとされる可能性があります。
Q2.通勤時間、出張時の移動時間、 取引先への移動時間は労働時間か?
A.通勤時間は、労働者が労務の提供を行うための準備行為になるため、労働時間とはなりません。なぜならば、労働者の居住場所、ルートや通勤方法も自由であり、通勤時間中も自由であることから、使用者の指揮命令下に置かれていると解することができないからです。また同じ理由により、出張時の移動時間、取引先と自宅との間を直行・直帰した時間も労働時間とは認められません。
しかし、出張の目的が物品の運搬の場合は、移動中もその物品を監視しなければならないなど出張の移動そのものに業務性が認められるため、その移動時間も労働時間となり得ます。また、出勤後の所定労働時間中の移動時間は、次の業務に向けた移動を行っていることから、特段の事情がない限り、業務から離脱して、自由利用が認められ、労働からの解放が保障されているとはいえないため、その移動時間は労働時間であると解されます。
Q3.テレワーク中に出社した場合、移動時間は労働時間か?
A.その移動時間について、労働者による自由利用ができるかどうかで決まります。
テレワークガイドラインによると、テレワーク中の就業場所間の移動時間について、労働者による自由利用が保障されている時間については、休憩時間として取り扱うことができるとされています。一方で、テレワーク中の労働者に対して、使用者が具体的な業務のために急きょオフィスへの出勤を求めた場合など、使用者が労働者に対し業務に従事するために必要な就業場所間の移動を命じ、その間の自由利用が保障されていない場合の移動時間は、 労働時間に該当するとしています。
Q4.始業時間前にタイムカードを打刻した場合、始業時間からカウントしてよいか?
A.使用者の指揮命令下にあって労働力を提供している時間か否かが判断のポイントになります。
始業前の準備行為等は、労働契約に基づく労務の提供そのものではなく、その準備行為となるため、それらの行為が使用者の指揮命令下に置かれていると評価されない限り、労働時間ではありません。たとえば、自分の意志で早めに出社し、席に着いているというだけでは、「使用者の指揮命令下に入っている」とは言えず、会社到着時刻から始業時刻までは労働時間にはなりません。一方、始業時刻前に上司から「至急この資料をまとめてくれないか」と言われたような場合は、「使用者の指揮命令下に入った」と評価されますので、その瞬間から始業時刻までは労働時間となり、賃金や時間外手当の対象となります。このように、基本的には所定始業時間からのカウントでよいですが、それよりも前に就労していることが明らかであるような場合には、労働時間と認定される可能性があります。
Q5.研修参加や資格取得のための勉強、情報収集等の時間は労働時間か?
A.参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間は労働時間となりますが、参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく、自由参加のものであれば、その参加時間は労働時間にはなりません。
Q6.上司の禁止に反し、労働者が自主的に行った持ち帰り残業は労働時間か?
A.原則として、持ち帰り残業は、使用者の指揮命令下の労働とは認められず、労働時間に該当するということはできません。しかし、持ち帰り残業をしなければ期限に間に合わず、懲戒処分や人事考課などの不利益が生じる可能性がある状況において、持ち帰り残業を使用者が黙認しているようなケースでは、例外的に労働時間として認められる場合も生じます。
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