News Info

News Lettter 労働基準法違反で送検・公表される事案について

今回のトピック

 

労働基準法違反で送検・公表される事案について

 

1. そもそも労働基準監督署による調査(臨検)とは?
2. 臨検の4つの種類と目的
3. 臨検で指摘されたらどうなる?
4. 労働基準法違反の送検事案
5. 監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1. そもそも労働基準監督署による調査(臨検)とは?

 

労働基準監督署による臨検とは、労働基準監督官が各企業に訪れて、書類のチェックやヒアリングを行いながら、労働基準法などを遵守しているかを確認するための調査です。労働基準監督官は法律により、強制的に会社に立ち入り調査する権限が与えられています。そのため、企業は臨検を断ることができません。

 

2. 臨検の4つの種類と目的

 

臨検には次の4つの種類があり、それぞれ内容や目的は異なります。

 

●定期監督 :最も一般的な臨検で、労働基準監督署ごとの年間計画に基づき行われます。
●災害時監督:労災が発生した際、原因を調べて再発を防止するために行われます。
●申告監督 :各企業の労働者からの申告に基づいて行われます。
●再監督  :上記の臨検で指摘された事項が是正されているかを確認されます。

 

3. 臨検で指摘されたらどうなる?

 

まず、臨検で使用者が労働基準法を違反していると認められた場合には、是正勧告が行われます。この是正勧告は行政指導のため、法的拘束力はありません。行政指導では是正しきれない重大・悪質な法律違反と判断された場合や、是正勧告を放置し続けた場合は、送検(司法処分)に移行します。送検事案は、厚生労働省のHPで公表されます。企業名公表は、社会的な制裁としての意義を持ち、企業イメージの低下は避けることができません。労働基準監督官は、立ち入り権限を持ち、逮捕、捜索、差し押さえを含む捜査・送検などの権限があります。
また、臨検時に監督官の質問に答えなかったり、虚偽の陳述をしたりすると、30万円以下の罰金を科される可能性があります。よって、無視したり虚偽の陳述をしたりするのは当然すべきではありませんが、逆に納得いかないことまでやみくもに従う必要もありません。監督官もたくさんの事業場の臨検をしているので、しっかり説明すれば会社の主張を理解してもらえることもあります。監督官に理解してもらうよう丁寧に対応すべきです。

 

4. 労働基準法違反の送検事案

 

令和3年7 月1日から令和4年6 月30日までに全国で送検・公表されたもので、労働基準法違反にかかる事案として次のようなものがあります。

【労働基準法第15条違反】3件
労働者2名に対し、労働条件について、書面を交付する等により明示しなかった等。
【労働基準法第24条違反】4件
労働者4名に、1か月ないし4か月分の定期賃金合計約165万円を支払わなかった等。
【労働基準法第32条違反】14件
労働者8名に、36協定の延長時間を超える違法な時間外労働を行わせた等。
【労働基準法第36条違反】2件
労働者2名に、月100時間以上の違法な時間外・休日労働を行わせた等。
【労働基準法第37条違反】4件
労働者1名に、1か月間の時間外・深夜労働の割増賃金合計約9万円を支払わなかった等。

 

5. 監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)

 

残業代の未払いは、労働基準法37条に違反するため、発覚した企業は、労働基準監督署から行政指導・是正勧告を受けます。厚生労働省は、労働基準監督署が監督指導を行った結果、令和3年度に、不払だった割増賃金が支払われたもののうち、支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を公表しています。公表内容は下記の通りです。

 

(1) 是正企業数1,069企業(前年度比 7 企業の増)うち、1,000 万円以上の割増賃金を支払ったのは、115 企業(同 3 企業の増)
(2) 対象労働者数 6万4,968 人(同427 人の減)
(3) 支払われた割増賃金合計額 65億781万円(同 4 億7,833万円の減)
(4) 支払われた割増賃金の平均額は、1 企業当たり609万円、労働者1 人当たり10 万円

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

上記の情報は令和5年2月現在のものであり、今後変更する可能性がありますので、
ご利用前には当方または関係機関にご確認をお願いいたします。
なお、掲載情報については分かりやすくお伝えするため一部情報を省略しています。
また、弊事務所では掲載情報に基づくお客様の行動に対して
一切の責任を負うことができませんが何卒ご了承のほどお願いいたします。