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News Lettter 非正規雇用労働者の賃金引上げに向けた同一労働同一賃金の取組強化

今回のトピック

非正規雇用労働者の賃金引上げに向けた同一労働同一賃金の取組強化

1. 同一労働同一賃金を正しく理解しましょう。

2. 労働基準監督署の臨検(定期監督)で調査が行われることになりました。

3. 定年後の基本給を60%以下にするのは認められない?(同一労働同一賃金を巡る注目の判例)

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1. 同一労働同一賃金を正しく理解しましょう。

同一労働同一賃金とは、同一企業内で働く、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との不合理な待遇差を解消するために導入する制度のことです。同一労働同一賃金を正しく理解するためには、同一労働同一賃金のキーワードとなる「均等待遇」と「均衡待遇」の違いを知ることが大切です。

均等待遇

均等待遇とは、同じ仕事をしているのであれば、正規雇用労働者もしくは非正規雇用労働者に関わらず、同じ待遇にしなければならないという考え方です。仕事内容が同じであるかは、「職務の内容」(業務の内容とその業務に伴う責任の程度)と「職務の内容・配置の変更の範囲」(転勤昇進といった人事異動や役割の変化の有無や範囲など)によって判断されます。

均衡待遇

均衡待遇とは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間に仕事内容の違いがあれば、その違いに応じた合理的な待遇にしなければならないという考え方です。逆に言えば、仕事内容の違いに応じた不合理のない待遇差については認められるということになります。例えば、役職手当について、役職の内容に対して支給しているA社において、 通常の労働者であるXの役職と同一の役職名であって同一の内容の役職に就く短時間有期雇用労働者であるYに、所定労働時間に比例した役職手当を支給している場合は、不合理な待遇差とはなりません。仕事内容の違いは、均等待遇と同じ「職務の内容」「職務内容・配置の変更の範囲」に加え、「その他の事情」(個々の能力や経験など様々な要素)も考慮して判断されます。

2. 労働基準監督署の臨検(定期監督)で調査が行われることになりました。

パート・有期雇用労働法及び労働者派遣法の履行確保を強化するための取り組みとして挙げられているのが、労働基準監督署と都道府県労働局との連携です。これまでは、同一労働同一賃金の徹底に向けて、パート・有期雇用者に関しては各都道府県にある労働局の雇用環境・均等部等において、また、派遣労働者に関しては労働局の需給調整事業部等において指導等が行われてきましたが、昨年12月からは労働基準監督署との連携を開始し、本年3月から本格的に実施されています。今後は、労働基準監督署の臨検(定期監督)を利用して、非正規雇用労働者の基本給や諸手当などの待遇について事実確認を実施し、それらの情報も踏まえた都道府県労働局の指導が増えていくでしょう。

3. 定年後の基本給を60%以下にするのは認められない?(同一労働同一賃金を巡る注目の判例)

令和2年10月28日名古屋地方裁判所において、正社員(無期雇用労働者)と定年後再雇用の嘱託社員(有期雇用労働者)との間における、基本給・精励手当・家族手当・賞与に関する待遇差について、労働契約法20条(均衡待遇規定)違反の有無が争われた裁判の判決が下されました。
本件は、自動車学校で定年退職後再雇用された嘱託社員が、定年退職前後でその職務内容及び変更範囲に相違はなかったことから、正社員との間の待遇差が不合理であるとし、差額賃金あるいは損害賠償等を求めて訴えた事案です。

判決の概要は以下のとおりです。

① 基本給及び賞与…正社員定年退職時の60%を下回る限度で不合理
② 精励手当…待遇差は不合理であり労働契約法20条に違反
③ 家族手当…嘱託職員は老齢厚生年金の支給を受けられるのであり、これらの事情を考慮すると嘱託職員に家族手当を支給しないことは、不合理とは認められない

令和4年3月25日名古屋高等裁判所においても一審(地裁)と同じ判断がなされ、さらに現在、最高裁に上告されています。企業としては、今後の裁判例等を注視した上で、基本給や賞与等の見直しを図ることが望ましいかと思われます。

↓↓同一労働同一賃金の取組強化の詳細はこちらをご覧ください↓↓

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31941.html

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上記の情報は令和5年5

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