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News Lettter 雇用保険の離職票における退職理由について

今回のトピック

雇用保険の離職票における退職理由について

1. 離職票に退職理由を記載するのはなぜでしょうか
2. もしパワハラ・セクハラを受けたことを理由に退職したら?
3. もし退職勧奨に合意して退職したら?
4. もし体調不良が原因で退職したら?
5. 退職時、退職理由は明確化しておきましょう

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1. 離職票に退職理由を記載するのはなぜでしょうか
それは、離職の理由よって失業給付の受給資格、給付日数、給付開始日に違いがでてくるからです。退職理由は一般的に「会社都合」と「自己都合」の2つに分けられますが、さらに、その具体的な内容によって離職者を次の3つに分類します。

① 特定受給資格者(倒産・解雇等により離職を余儀なくされた者)
<受給資格>:離職前1年間に被保険者期間が通算して6か月ある
<給付日数>:最大330日 <給付開始日>:7日間待機後
② 特定理由離職者(有期契約が更新されなかった者など)
<受給資格>:離職前1年間に被保険者期間が通算して6か月ある
<給付日数>:最大150日(一部②の該当者は最大330日)  <給付開始日>:7日間待機後
③ 上記①②に該当しない離職者(正当な理由のない自己都合での離職者)
<受給資格>:離職前2年間に被保険者期間が通算して12か月ある
<給付日数>:最大150日 <給付開始日>:待機7日間+原則2か月後

※どのような理由が①特定受給資格者や②特定理由離職者と判定されるかについては、厚生労働省のリーフレット(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/03.pdf)をご参照ください。

2. もしパワハラ・セクハラを受けたことを理由に退職したら?
会社がパワハラ・セクハラを認めた場合は、退職理由は会社都合となり、①特定受給資格者に該当することになります。そうすると、被保険者期間が6か月間あれば受給資格を満たし、給付開始までに2か月間待つ必要はなく受給資格決定日から7日間の待機後から給付が始まります(実際に現金が振り込まれるのは受給資格決定日からおよそ1か月後です)。また、被保険者期間と年齢によって、最大330日の給付が受けられます。
仮に会社がパワハラ・セクハラを認めず、自己都合退職とされた場合でも、ハローワークに相談し、パワハラ・セクハラの事実を証言してくれる人が2人以上いれば、①特定受給資格者と認定される可能性が高いようです。
3. もし退職勧奨に合意して退職したら?
退職勧奨は、会社が社員に対して『やめてほしい』『やめてくれないか』などと言って退職を勧めることをいい、労働者がこれに応じた場合、退職理由は会社都合となり①特定受給資格者に該当することになります。したがって、受給資格等は前述のパワハラ・セクハラの場合と同様になります。
4. もし体調不良が原因で退職したら?
自己都合での退職ですので、③正当な理由のない自己都合での離職者に該当しますが、失業給付はそもそも労働可能な状態を要件としているため、労働ができない場合には受給することができません。
仮に、退職前に休業しており、健康保険の傷病手当金や労災保険の休業補償給付(※)を受給していた場合、退職後も引き続き申請することで傷病手当金や休業補償給付を受給しつづけることはできますが、労働できない状態と考えられますので、失業給付金を同時に受給することはできません。
ただし、離職の翌日から1年間の受給期間に引き続き30日以上働くことができなかったときはそのできなかった日数だけ受給期間を延長(最大3年間)することができます。
※業務災害の場合:労働基準法により、休業中とその後の30日は解雇が禁止されています。
5. 退職時、退職理由は明確化しておきましょう
退職理由は、会社のみ、または離職者のみの主張で決まるものではありません。それぞれの主張を確認できる資料をもとに事実確認を行った後、最終的にハローワークにおいて判定されます。トラブルを防ぐためにも、退職時に退職理由を明確化しておくことが大切です。

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