News Lettter 熱中症対策は万全ですか?企業が講じるべき義務と罰則リスク
今回のトピック
□ 異常気象の影響もあり熱中症が増えています
□ 熱中症による労災発生状況
□ 労働安全衛生規則の改正内容
□ 企業がとるべき熱中症対策の実務ポイント
□ 対策が不十分な場合には、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金も!
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1.異常気象の影響もあり熱中症が増えています
近年、異常気象の影響もあり、屋内外を問わずあらゆる現場
で熱中症リスクが高まっています。
2025年6月1日に施行された労働安全衛生規則の改正により、
事業者には重症化を防止するための熱中症対策が義務付けられました。
今回は、労働安全衛生法を踏まえた企業が講じるべき
熱中症対策について、現状とともにお伝えします。
2.熱中症による労災発生状況
(出典:厚労省R6年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」)
・2024年の熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)
は1,257人であり、全体の約4割が建設業と製造業で発生
・熱中症による死亡者は31人であり、うち建設業では10人、
製造業では5人
・50代以上の被災が多く、初期対応の遅れも課題となっています。
3.労働安全衛生規則の改正内容
①熱中症患者の報告体制の整備・周知
熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、
・熱中症の自覚症状がある作業者
・熱中症のおそれがある作業者を見つけた者
がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)
を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知する。
②熱中症の悪化防止措置の準備・周知
熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、
作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の
診察又は処置を受けさせること、
事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先
及び所在地等など、熱中症の症状の悪化を防止する
ために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ご
とにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知する。
※「熱中症を生ずるおそれのある作業」とは、
WBGT値が28℃以上、または気温が31℃以上の作業場で、
継続して1時間以上、または1日あたり4時間を超えて行われる
ことが見込まれる屋内外の作業を指します。
製造業・建設業・運送業・倉庫業・屋外作業などの事業所が
特に注意すべき対象です。
4.企業がとるべき熱中症対策の実務ポイント
労働安全衛生法では事業者に労働者の安全と健康を確保する
ことを義務付けています。
以下では、企業がとるべき実務対応ポイントをお伝えします。
① 暑熱順化(身体を暑さに慣れさせる)期間の確保
・作業開始前に、徐々に負荷を高めて身体を慣らす。
(目安:5~10日間)
② WBGT値の測定と記録
・WBGTを活用し、危険レベルに応じた対応をルール化する。
③ 作業時間・休憩時間の調整
・WBGT値が28℃以上なら1時間ごとに10~15分の休憩をとる。
・単独作業は避け、声かけや見回り体制を強化する。
④こまめな水分・塩分補給の促進
・1日あたり1.2ℓ以上の水分補給を目安におこなう。
・作業場に冷却水、経口補水液、塩飴などを常備する。
⑤新人・高齢者・持病のある労働者への配慮
⑥服装・装備の見直し
・空調服、通気性の良い作業着、帽子を使用する。
・ヘルメットや保護具も、できる限り遮熱・軽量化
されたものを使用する。
⑦熱中症が疑われた際の対応訓練
・倒れた人への応急処置マニュアルを整備する。
・救急搬送・報告フローを社内で共有する。
5.対策が不十分な場合には、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金も!
企業や現場責任者が適切な対策を講じなかった場合、
以下のような罰則が科されます。
・6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
・法人・個人ともに処罰対象(両罰規定)
また、安全配慮義務違反で損害賠償請求や行政指導、
企業イメージの毀損といったリスクもあります。
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