News Info

News Lettter SNSをめぐるトラブルと労務管理について

今回のトピック

SNSをめぐるトラブルと労務管理について

1. SNS対策の必要性
2. 直近の炎上事例
3. 求人サイトの口コミに誹謗中傷を書き込んだ元従業員に損害賠償請求できるか。
4. 事前のSNS対応
5. 事後のSNS対応

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1.SNS対策の必要性

近年、SNSへの不適切な投稿が原因となり、投稿者本人だけでなく、会社までもが非難に晒される炎上事例が多発しています。会社までもが炎上した場合、信用失墜、株価暴落、不買運動、店舗閉鎖、顧客離れ、取引停止、人材流出など甚大な被害を受ける可能性があります。また、投稿した従業員にも、会社や第三者からの損害賠償請求、本人・家族への誹謗中傷、業務妨害罪などの刑事罰、就業規則に基づく懲戒処分などを受ける可能性が考えられます。このような事態を避けるためには、会社側として、SNSの普及に応じてこれからの労務管理に求められる事前及び事後の対応をしっかりと講じる必要があります。

2.直近の炎上事例

ある自動車販売会社の営業職の従業員が、競合他社の販売店に行った上で以下のツイッターを投稿しました。
「●●●(競合他社の車の名前)の商談をして値引き交渉までしたけど買わずに帰ってきました。〇〇〇(自社の車の名前)ライバル車はほぼ知り尽くした。営業マンは65点くらいかな。」
この投稿により、他社販売店に迷惑をかけたあげくツイッターで叩くのはあり得ない、迷惑なことを自慢げに投稿できるのが理解できない、などと批判が寄せられ大炎上となりました。投稿した従業員が勤務する販売店が、公式プレスリリースにて謝罪文を掲載する事態に至りました。

3.求人サイトの口コミに誹謗中傷を書き込んだ元従業員に損害賠償請求できるか。

求人サイトの口コミに、「給与が低い」「ブラック企業だ」「上司の好き嫌いで評価される」といった、会社にとっては誹謗中傷ともいえる情報を元社員が書き込んだ場合、就職を希望する人が減るなど、会社の採用に悪影響が出ることが懸念されます。こうした書き込みを行う元従業員に対して、名誉毀損で損害賠償を請求することはできるのでしょうか。誹謗中傷の投稿は名誉毀損に該当するといえるので、投稿した情報の主要な部分が事実であると立証がされない限り、損害賠償を請求することは可能と考えられます。そのため、書き込みの内容が事実に反するということを、会社側が積極的に証拠を提出して証明する必要があります。

4.事前のSNS対応

会社としては、前述したような事態に陥ることを未然に防ぐための対策が何より重要です。事前の対応として必要な対策は以下の4点です。
① 就業規則の規定化
SNS対策として就業規則に規定化する場合には、服務規律条項と懲戒処分条項で対応することになります。
② SNSポリシーの策定
SNSポリシーとは、SNS利用に対する企業の理念や指針、運用の在り方を対外的に公表するものです。
③ 教育・研修の実施
教育・研修の内容は、損害賠償責任、名誉毀損罪、侮辱罪、威力業務妨害罪等といった刑事責任を追及される可能性があること、投稿内容によっては会社の責任も問われかねないことなどを重点的に説明する必要があります。
④ 誓約書
従業員に対して、注意喚起や意識付けのために、入社時に誓約書を提出させることは非常に有効です。

5.事後のSNS対応

不適切な投稿が発覚した場合、まずは投稿内容をプリントアウトしたり、PDF化したりして、投稿内容を保存する必要があります。これらが、懲戒処分、損害賠償、刑事告訴などの証拠になるからです。さらに拡散状況や投稿者が確認できた場合には、削除指示を行うことになります。その上で、事後的な対応として、懲戒処分、損害賠償、刑事告訴、早期のプレスリリース、再発防止策の検討、相談窓口の設置などが挙げられます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※ 上記の情報は令和4年12月現在のものであり、今後変更する可能性がありますので、
ご利用前には当方または関係機関にご確認をお願いいたします。
なお、掲載情報については分かりやすくお伝えするため一部情報を省略しています。
また、弊事務所では掲載情報に基づくお客様の行動に対して一切の責任を負うことができませんが何卒ご了承のほどお願いいたします。