人事考課制度の運用

人事考課制度で最も難しいのが運用

どんな人事考課制度にも不満があるのは必然である理由

人事考課制度において、すべての従業員の満足はあり得ません。なぜならば、ほとんどの従業員にとっていい人事考課制度とは、「自分」を高く評価してくれる制度だからです。ところが設計段階で、全員に対して「いい評価」をつける考課制度を設計することはしません。たいていの企業では真ん中の評価を平均に置きます。すると、約半数の人は平均以下の評価を受けることになり、考課制度に対し不満を抱くことになってしまいます。

ではどうすればよいのか? 報酬には金銭報酬だけでなく、感情報酬があることに留意して設計を行う。

【解決策1】

感情報酬:最終的な評価以外の気づきや、経営層や上司からの思いをできるだけ伝える工夫ができる設計にする。

たとえ自分の評価が平均以下であっても、直属上司から評価対象外となるような小さなことでも自分が頑張っていることを認めているエピソードや、他部署からのお褒めの言葉などが一緒にフィードバックされれば、モチベーションダウンを防ぐ効果が期待できます。

【解決策2】
感情報酬&金銭報酬:人事考課制度の評価の中央値が高めになるように設計する。この場合、考課結果と連動して昇給額が上がりすぎるのを防ぐため、昇給額の設計を工夫する必要があります。

数値で実績を図れる業務で、しっかり評価に差をつけてフィードバックしたい企業もあれば、あまり差をつけたくはない(ごく一部の人を除いてあまり差もない)という考えの企業もあります。

いずれにせよ事前にシミュレーションを何度か行い、考課結果の平均がどれくらいになるのか想定したうえで、賃金テーブルや昇給額などを設計する必要があります。最悪なのが、シミュレーションをしっかり行っていないために昇給額も高くなりすぎ、その辻褄を合わせるために評価を無理に下げるケースです。人事考課と連動して昇給を行う以上、考課の結果と昇給額まで連動して設計することは必須です。

 

ー参考トピックスー
ロジックツリーを使った目標管理制度